先週金曜日の雇用統計が事前予測を上回る結果になったので、FRBのテーパリング(量的緩和縮小)更に利上げが前倒しに早まるのではないか、との観測が浮上。
まず債券市場が反応。
10年債利回りが1.2%から1.3%へ向けて上昇開始。
依然、低水準のドル金利だが、上がれば金利を生まない金には逆風。
これを受けて外為市場ではドル高。
これも金には下押し材料。一気に1,760ドル台まで急落。


そして週末。
中国でのデルタ株懸念強まり、コロナ規制再強化の動き。更に、中国経済指標の輸出入統計が悪化。
デルタ株→中国経済不安で原油需要減が囃され、原油価格が急落。
それに連れて、商品市場の金も売られた。
そしてビットコイン相場。
4万ドルの大台を回復して、短期マネーが金から仮想通貨へシフト。


以上のような背景で、今週月曜午前中に金は1,670ドル台まで急落後、1,730ドル台まで急騰という投機的フラッシュ・クラッシュが生じた。

 

kitco

 

ただでさえ取引の薄いアジア時間帯を狙った米超投機筋の仕掛け。
これは、いかにも下げ過ぎ。
筆者は、短期的弱気、中長期的強気と本欄では言及してきたが、短期的には、まだ脆弱だが、弱気感は薄れつつある。
今週は、米消費者物価、生産者物価発表など重要指標目白押し。
FRB幹部発言も予想され荒れ模様だ。
いよいよジャクソンホール中央銀行フォーラムも近い。
ここでは、FRB議長は金融政策「所信表明」するので要注意だ。
なお、1,650ドル以下では、空売り買い戻しも活発化して、現物買いと共振しつつ、下支えされると見る。
現物要因としては、新興国中央銀行の公的金購入が、今後も続く可能性に注目。
財政の崖問題も不安視され、米国株バブル警戒感も強く、公的金購入が正当化される市場環境。


さて、五輪終わり、いよいよ感染爆発を直視するとき。
多分、2週間後くらいに東京の感染者数一日1万人を超えたところでピークアウトして、逆V字型に急減するのでは。
インド、英国でのデルタ感染事例からの推測ではあるが。
いずれにせよ、自粛では、最早制御不能。