白金供給超過、日本人の影

首題の見出しで記事が6月26日土曜日日経朝刊「グローバル市場面」に載り、筆者のコメントもあったので、色々、質問が寄せられた。

「自動車の排ガス浄化触媒などに欠かせないプラチナ(白金)。
さぞ需要も伸びているだろうと思いきや、2021年には3年ぶりの供給過多になるとの意外な予測が出回る。
その背景には日本人の地金投資の減少がちらつく。英製錬大手ジョンソン・マッセイ(JM)によると、21年の世界の白金需給は19トンの供給過多になる見通し。
新型コロナウイルス禍からの経済回復で供給や産業需要が伸びる一方、投資需要が減る。地域別で投資需要の減少幅が最も大きいのが日本。
「ジャバニーズ・バー(日本人の地金)の買いが減る」。
市場関係者はささやき合う。
日本は世界でも珍しく白金の地金投資が盛んだ。
世界的には金に比べるとマイナーだが、宝飾品向けの人気も含めて「日本人は白金への憧れも強い」(マーケットアナリストの豊島逸夫氏)。


という記事だが、結局、日本人は「逆張り」で、プラチナが安くなると買い、高くなると売りに徹している。
いわゆるバーゲンハンター体質なのだ。
「バブル崩壊などの苦難を経て、現物資産を手元に置く需要が強い」ことが現物選好の高さの背景にある。
プラチナETFも現物の裏付けが絶対条件だ。
基本的に買いなので、とにかく、値が下がれば購入意欲が高まる。
プラチナ価格は足元で金につられて急落後、調整局面にあるが、長期的には強気に見ている。


さて、同じ土曜日に日経プラス9サタデーに自宅からリモートで生出演。
今後の相場展望のカギになる米金融政策、そして、日本株予測を語った。
今後の米金融政策関係の展開をまとめたのが、このグラフ。

 

米金融政策
投資主体売買動向

 

まずは8月のジャクソンホール中央銀行フォーラムと9月FOMC(米金融政策決定会合)が転換点になりそう。株も金も調整局面からの上昇へ脱却のタイミング。
更に、日本株に関しては、日銀が株ETF購入を続けた結果、今や日本株最大の株主になるという異常事態で、さすがに最近は市場介入を控え気味だ。
日本株が脆弱な理由になっている。
加えて、ワクチン遅れ、五輪不安。これが過ぎる9月頃が日本株再浮上のキッカケになるとの予測を語った。

一般的にテレビ番組では、金はマイナーな存在なので、滅多に取り上げられることはない。
金、史上最高値更新、というようなときに、急遽特集が組まれるが、そのときには、相場の旬は過ぎている。
今は、ドル円も膠着で、外為アナリストは仕事がなくて干上がっている状態。
結局、株の話がメインで、今回は、その背景の債券市場の動きが話題になる。
筆者はマルチアセット志向で、一貫してマクロ的な視点で株・ドル・債券・商品市場を俯瞰する姿勢。
金も、マクロ的視点なくば「井戸の中の蛙」状態になる。
商品市場では中国の規制とか、金特有の話題性が語られるが、いまは圧倒的にテーパリングが主因で動いている。
この見極めが肝要だ。
本欄読者にも、常に、現場を見る「虫の目」、市場の底流を見る「魚の目」、そして俯瞰する「鳥の目」の三つの複眼構造を養ってほしい。


最後に、週末は、女子ゴルフ米メジャー競技で「しぶこ」のドラマチックな展開にハラハラしつつ最後は万歳(笑)。
渋野日向子選手、予選通過まであと2ホールで3打足らずというギリギリの状況で、17番バーディー、18番イーグルの計3打で、劇的決選突入。
ところがその晩にキャディーがPCR検査陽性判明。しぶこ、まんじりともせず、明早朝のPCRで陰性確認により決選出場許可。
しかし、見ず知らずのキャディーゆえ、距離計測は自分で行うことになり、その計測を間違え、池ポチャ4発連発。
パー3の1ホールだけで10叩き、記者会見でさすがに号泣。
これで終わったと思ったところから、またもや、渋野選手の奇跡のリベンジ攻撃が始まり、特に、最終日は、全選手中、当日スコア2位という、完璧なゴルフを見せた。
というわけで、筆者も、興奮状態になった。まさに相場の戦いと同じ。いくばくかの運と、持ち前の「何かを引き起こす天性」と、そして実力と。
ディーラーにも必須の条件が揃っていた。という次第。
実は、そのさなかに、テレビ生出演したので、アドレナリン抑えるのに苦労したよ。
とりあえず、バストアップだけは、スーツ・ネクタイ姿で映るようにしたけど(笑)