米CEOが自社の大株主が誰なのか分からない異常な状況
事の起こりは、外電が「アルケゴス関連でクレディ・スイスに4億ドル相当の売り残しがある」と報じたことだった。
「アルケゴス関連の売りはまだ終わっていない」
「我が社の株価が急落しているが特段の要因はない。もしかしてアルケゴスに保有されていたのかも」
不安に駆られた一般企業のCEOたちから「うちは大丈夫か」との問い合わせが急増しているという。
更に、クレディ・スイスが決算発表でアルケゴス関連について詳細に説明したので、残るは野村HD、との認識もある。
そこで「野村のアルケゴス関連銘柄について東京市場に情報が流れていないか」との質問が寄せられる。
22日のウォールストリートジャーナル紙報道も、その不安感を増幅させているようだ。
アルケゴス問題が発覚してゴールドマンサックスなどが関連銘柄の大量売却に走った3月26日のこと。
これまでアルケゴス関連銘柄として名前が出ていなかった企業だが、3月26日に要因不明の急落を演じた事例が複数ある、というのだ。
まず、スポーツ関連ストリーミングに特化したフボTV(FUBO)。
FACTSETによれば、2020年末に野村が470万株保有していた。
次に、石油・天然ガス会社のバイパー・エナジー・パートナーズ(VNOM)。同社株価もアルケゴス発覚後の時期に急落した。
野村のプライム・ブローカー部門が株式の5%程度を保有していたとされる。
更に、中国の教育サービスプロバイダーであるiヒューマン(IH)。
同社株価は3月29日に二桁の急落を演じた。やはりFACTSETによれば、クレディ・スイスと野村の名前が株主として並ぶ。
しかし、いずれのケースでも件の「トータル・リターン・スワップ」が使われており、買い手として表に名前が出るのは野村であり、買い本尊に関する情報は開示されない。
分かりやすく言えば、野村が「名義貸し」をして手数料を得る仕組みなのだ。
このデリバティブ商品が、パウエルFRB議長も認めるように「普通の売買形態」として普及しているので、一般企業のCEOが本当の主要株主の名前と保有株数が分からない、という事態が発生している。
ことにアルケゴス問題が発覚してからは、「我が社は関与しているのか」と疑心暗鬼のCEOが増えているわけだ。
かくして、米国証券取引委員会(SEC)には、「透明性」を求める声が強まっているが、新委員長のゲンスラー氏は議会指名承認をやっと得たばかり。
政権交代により生じた人事の真空地帯からの脱却が喫緊の課題である。
さて、欧米でも、「世界でコロナ感染再燃」の見出しで、「インドや日本などで変異種猛威」と報道されるようになった。
ロックダウンという表現もきついけど、非常事態という日本語を英訳すると、あたかも戦争時のような感じになる。
こういう記事を読んだら、「たしか、今年のオリンピックは日本だったような。どうなるの」と考えるのは当然の流れ。
先進国のなかで、ワクチン接種が、大幅に遅れている国、というレッテルも貼られた。東京駐在員記者が詳細を報道しているからだ。
かくして、米国では接種が進み、海外旅行再開ムードのなかで、日本への旅行は見送られている。
さっき、新聞ひろげたら、写真のようなチラシが目に入った。
危うい!