東欧諸国が公的金準備増強、ロシアの影が濃厚

ハンガリーが公的金保有を31.5トンから94.5トンに増やしました。ポーランドは2018年に金100トンを公的購入しましたが、先日、「今後、また100トンほどを買う予定」と発表しました。


いずれもかなりの量です。そして、彼らの金購入は偶然ではありません。
米ソ冷戦は過去のことですが、東欧諸国はロシアの脅威を未だに感じています。なにかの名目をつけて、ロシア軍が侵入してくるかもしれない、という緊張感が常にあります。ポーランド国境近くでは、米国との共同軍事演習が行われています。実際にロシアはウクライナの一部を併合してますからね。米ロ関係も悪化しています。ロシアの米国大統領選挙介入などが問題化しています。
そのような政治環境にあって、まさに「有事の金」を国で購入して、いざというときに備えるわけです。


「公的分野」の金購入にも、様々な国の事情があるわけです。
中国やロシアが巨額の公的金を購入しているのも、米ドル離れの一環といえましょう。ロシア中央銀行は外貨準備のなかで人民元も増やし、中国の人民元国際通貨政策の後押しをしています。米ドルに代わり人民元を国際基軸通貨に押し上げるという戦略ですね。金も無国籍通貨ですから、ドルもいやだ、ユーロも持ちたくない、まして円を持つなど論外、という国にとっては、金はナショナリズムの匂いがしない通貨なので都合が良いのですよ。


なお、中東の場合は、イスラム金融が「金利」を不労所得として排していますので、金利がつかないから金が良いという価値判断なのです。なお、サウジアラビアは巨額の公的金を保有しているが、政府系ファンド(サウジアラビア投資庁)に持たせて、外貨準備から外し、IMFにも報告していません。


さて、海外メディアが「東京五輪再考を」と相次いで訴えています。
NYタイムズは「ワクチン接種が遅れるなかでの五輪開催は最悪のタイミングだ。開催を再考するときだ」と断じています。更に
「東京五輪は3週間のスーパースプレッダー(一度に多くの人を感染させる)イベントになる。」とも書いています。
CNNは「大規模のイベントでどうやって人々を守るのか」と疑念を呈しています。
英ガーディアン紙は「ショーは続けねばならないのか?」と題する社説を掲載。「失われる可能性のある命がある」として、感染拡大リスクを考慮すべしと強調しています。
英BBCも「より感染力の強い変異ウイルスのまん延が第四波を引き起こす懸念がある」と警告しています。
フランスAFP通信も「感染拡大で既にテストイベントや予選が中止延期される事態になっている」と指摘しました。
まさに四面楚歌ですよ。どうみても国際感覚のない永田町。かなり心配しています。

 

このブログを書いたあとに、自民党二階幹事長が、TBS CS番組収録で東京五輪について「これ以上とても無理だということだったら、すぱっとやめないといけない」と語り話題になっています。やっと永田町も目覚めたか。。