注目の米10年債入札、日本勢に存在感
ドル長期金利上昇が主要テーマになっているNY市場では、10日の10年債入札(380億ドル)が「本日のメイン・イベント」として注目された。特に市場最前線の現場では「消費者物価上昇率も重要だが、実勢を表す指標としては国債入札の直接的影響が見逃せない」との見方が強かった。
日本時間午前3時過ぎに発表された結果は、「満足とはいえないが、投資家の不安感を和らげるに足る」とNY債券市場では評価された。発表直後には、10年債利回りが1.50%台の日中最安値まで下げている。発表前には日中最高値の1.56%をつけていた。結局、1.52%台で引けている。
今回の入札では、特に日本勢の入札が期待された。今や、日本が中国を抜き、米国債最大保有国になっている。その額は1兆2千億ドル規模。特に2021年は、FRBの国債購入額が前年の2兆ドルから半減する可能性もあり、日本勢の出方が注目されるのだ。
カリスマ投資家のデビッド・テッパー氏は、8日に、「日本機関投資家にとって、米国債利回りは為替ヘッジコストを勘案しても、非常に魅力的な水準だ。黒田日銀総裁は、国会で日本国債利回り変動幅を動かさない方針を明らかにしており、米国債へのマネーシフトが予想される。日本の機関投資家の買いが米国債市場の安定要因となろう。ドル長期金利も現水準で安定化の方向に向かい、株価にも好材料となる。株に弱気にはなれない」とまで語っていた経緯もある。
日本側の視点では期末で機関投資家は動きにくい時期だが、今や、その存在感が隠然とした影響を米国債券市場に与えていると言えよう。
金利が小康状態になれば、金の下げも一服。1720ドルまで戻している。底打ちと言いたいところだが、未だ、ドル金利が見通せず。紆余曲折はありそう。底値圏で揉み合いそう。