日本は、やはり肩書社会

私事ですが、早いもので、独立してから10年近くになりました。
組織の束縛から解放されて、自由に働けることが、こんなに楽しいとは。はっきりいって、もっと早く辞めればよかったと思うくらいです(笑)仕事の幅も広がりましたし、本当の本音で語るのが当たり前になりました。ただひとつ厄介なのが肩書。私は、肩書なしで、豊島逸夫という個人の立場でどこまで仕事出来るか、挑戦している気持ちなので、肩書などに全くこだわりがありません。しかし、メディアに出ると、「必ず」肩書が要求されます。それが、豊島逸夫事務所豊島逸夫ではダメです。「座りが悪い」そうです。そこで日経ではマーケット・アナリストという意味不明(笑)の肩書がつきました。他には、経済アナリスト、エコノミスト、など様々。テレビの地上波だと「国際金融に詳しい豊島氏」「中国経済に詳しい豊島氏」など、出演するたびに、カメレオンみたいに肩書が変わります(笑) これが米国だとindependent investment advisor など、独立系であることが明示されるだけで、事足ります。独立系のほうが色がついていないという理由で歓迎されます。やはり日本は肩書社会ということを実感します。もちろん欧米でも肩書にこだわる人が多いですけれど。特に組織内では。でも、例えば、「エグゼキュティブ」・アナリストとまでなると、そこまでこだわるのかと苦笑してしまいますね。
テレビの生出演でスタジオに入ったとき、それまで生出演していた証券会社のアナリスト氏とすれ違い目が合ったので、自然に笑顔で「こんにちは」と挨拶したのですが、完全に無視して通り過ぎて行ったという事がありました。その人、テレビでは常に笑顔満面でやさしいイメージなのですが。肩書のない人間と一緒にされたくない、という感じが伝わってきましたよ。日本で独立系でやっていると、こういう場面によく遭遇するのです。
さて、今日発売の週刊フライデー58-59ページに「超初心者のための金投資マニュアル」が載っています。女性の写真だらけの雑誌で、うっかりお茶の間で読むのも憚られるのですが、この金特集はよくまとまっています。今週は、週刊エコノミスト、週刊新潮、産経新聞と、一般メディアの金特集が相次ぎました。プロ的発想だと、これほど一般の話題になると、一相場終わり、と言いたいところですが、今回ばかりは、複合要因で上がっているので、息が長い相場になりそうです。ただ、足元で、やや円高に振れているので、円建て金価格は上がりにくい構造になっていますね。そもそも、本欄では、コロナという未曽有の危機ゆえ、90円台の円高になっても不思議はないのに、106-109円とかの「円安」だから、円建て金価格も40年ぶりの高値になると書いてきました。それが、さすがに修正されつつあるようです。とはいえ、NY市場では、円よりドルが安全通貨として認識され買われがちなので、ドル高要因も根強く、極端な円高にはなりにくい構造と言えましょう。私自身が根っからの円安論者であることは変わりません。
最後に、相撲見物に行ってきました。マス席独り占めできるので、ゆったり楽しめましたよ。私は関係ないですが、アルコールは禁止。マスク必須。静かな館内に、力士がぶつかる音が響き、迫力ありました。
なお、週刊エコノミスト誌に寄稿した下記原稿は「金の地政学 ロシアが公的購入を突如停止 米ドル依存脱却で中国と協調」について書きました。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200922/se1/00m/020/023000c#cxrecs_s

豊島氏
相撲とり