コロナ治療薬、相場を動かす
米バイオ医薬品メーカー、ギリアド・サイエンシズは、新型コロナウイルス治療薬レムデシビルの臨床試験結果を発表。レムデシビル投与の患者は14日以内に死亡する確率が62%低かったとしています。但し、専門家の間では、この臨床試験は未だ緩い条件なので、太鼓判は押せないとの意見も少なからず出ています。筆者は専門的知見を持たないので判断できかねます。ただ、治療薬そして、なんといってもワクチン開発に関する情報にマーケットが一喜一憂していることは確かです。
このレムデシビルについての臨床結果も株価を引きあげる材料になりました。対して、金には売り材料となります。
国際金価格は1800ドルという歴史的高値圏で揉み合いが続いています。思えば、随分と高い水準での攻防となったものです。
日経も、この高値圏で日本でも金を買う投資家が増えていることを伝えています。更に、プラチナに相対的な値ごろ感が生じて、買いに入る人たちが絶えないことも報道しています。
ひとつだけ、気になる点を指摘しておきます。
日本の貴金属店店頭で顧客が発する質問のなかで、目立つのは、「金・プラチナが上がったか、下がったか」より「今日は、買う顧客が多いか、売る顧客が多いか」ということです。これは、危うい。友人・同僚が金・プラチナを買っていれば安心感が生じ、更に、自分だけ出遅れているのかとの疑念が生じ、焦りから「買い」を決断する。これは自分で決められない投資家の典型的なパターンです。しかし、投資の決断はあくまで自己責任。リスクを取る覚悟が必要です。しかし、世の中にはリスクを取れない人たちが多いことも確かです。あれこれ考え抜いた挙句、結局、何も行動できなければ、無理して投資しないほうが良い、と私は思います。
なお現状ではプラチナ価格が金の半値以下。それゆえ、金を買う人とプラチナを買う人の心理は異なります。
金を高値圏でも買うひとは、やはり、将来に不安を感じています。いっぽう、プラチナを買う人は、とにかく価格が安いという動機で動いています。
とはいえ、希少な実物資産を購入するという点では共通項があります。
勿論、単純に一般化は出来ませんが、おおむね、この程度の違いが見られるという程度に理解してください。
なお、外貨準備として金が保有されますが、プラチナを外貨準備で保有する国はありません。コモディティー(商品)とマネー(通貨)としての二面性を持つ金と、産業用素材のプラチナが決定的に異なる点ともいえるでしょう。なお、筆者はプラチナ記事のなかで、プラチナ価格が下げ過ぎと述べています。いくらなんでも金の半値以下は売られ過ぎであろう、との相場観です。