朝鮮半島緊張

韓国の脱北者団体がまいたビラを巡り、北朝鮮が韓国との緊張をあおり続けています。金正恩委員長の妹、金与正、朝鮮労働党第一副部長が今や北朝鮮NO2の座に就いたことを誇示するがごとく、前面に出て主導しています。
彼女の警告どおり、開城の南北共同連絡事務所は破壊されました。更なる武力挑発、そして偶発的武力衝突のリスクがあります。
北朝鮮は、米国の反対で南北経済協力を進めなかった文政権への不満をぶつけているのですね。危機を煽り、一転して対話をよびかける、いつもの手法が透けます。金与正氏も、自らの存在感を強める機会と見て動いているのでしょう。
昨日午後に爆破が報じられたときは、金価格が10ドルほど急騰しました。典型的な有事の金ですが、米国時間には、また元に戻っていました。有事の金は一過性です。
昨日はパウエルFRB議長の議会証言があり注目されました。
冒頭で「経済が好転すれば、債券購入を減らすかも」と語ったときには、NY株が一瞬急落しました。まさに市場は量的緩和依存症です。
しかし、直ぐに株価は戻しています。
ところで、米国では対コロナ対策として失業者に支給されている週600ドルの「ボーナス」や、一家庭に1200ドル支払われる現金給付を原資に、手数料無料株式売買アプリ(名称ロビンフッド)経由で新規参加する多くの初心者たちが話題になっています。殆ど金融知識を持たず、ゲーム感覚で売買するので、予測できない行動に出ます。最近のNY株乱高下の一因が、このロビンフッド族にあると言われています。殆どがデイトレード。一日の間で売買する短期的投機家集団になっています。おそらく金市場にも参入していると思われます。要は、ロックダウン生活で時間を持て余し、スポーツやギャンブルの刺激がないので、こういうイビツなかたちで、アニマル・スピリッツを発散させているのでしょう。小人閑居して不善をなす、の典型だと思っています。


ところで、今朝の日経朝刊商品面に「NY先物、金在庫急増、コロナ禍、2か月半で3倍強、初の900トン超え、欧米価格差が契機に」と言う記事が載っています。興味ある人は読んでみてください。


https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60365980V10C20A6QM8000/

 

 ~金の在庫は高水準が続きそうだ。マーケットアナリストの豊島逸夫氏は「コロナ禍で米国でも現物志向の投資家が増えている」と話す。物流の不安などでいざというときに金の引き出しや換金が困難になるリスクを警戒しているためだ。

経済再開後、各地で感染「第2波」がじわりと広がる現状から再び物流網が寸断するリスクも捨てきれない。「金の取引を仲介する銀行などが顧客への現物の受け渡しに備え、厚めに在庫を確保する動きもある」(豊島氏)~

 

などとコメントしています。どちらかといえば、業界ネタなので、初心者の方はスルーして全く構いません。
要は、高値で金が買い控えられ、リサイクルが急増して、今や金現物需給はジャブジャブ。通常は余った金はロンドンに空輸されるのですが、ロンドンの金庫も金ETF在庫急増などで、いっぱいいっぱい。そこで、NYに空輸して保管しようという動き。NY先物価格が現物価格よりかなり高くなっているので、NYで捌いたほうが、儲かるというインセンティブが働いています。
金価格が1700ドル超えて頭が重くなっているのも、現物需給の緩みがジワリ、ボディーブローのごとく効いてきているのでしょう。