イースター休暇明けの国際金スポット価格は1,684ドルから1,729ドルまで急騰。
その後1,710ドル台で推移している。
報道では、スポット価格と先物価格が媒体により使い分けられ、分かりにくい。
昨日も、色々取材を受けたが、先物価格と現物価格、そして現物価格でも税抜きとか税込みとか、非常に煩雑なので、説明に時間がかかった。
これは、金価格表示に関する問題点で、簡素化して一般の人にも分かりやすい表示にすべきであろう。
まぁ、これは、技術上の問題なので、重要なことは、金価格上昇に歯止めがかからず急騰していることだ。
1,700ドルを超えると、バブルの領域に突入である。
現物需給から乖離した先物主導の価格で、上げのモメンタムに乗った一儲けを目論むヘッジファンドの買いが加速度的に増えている。
2011年ギリシャ危機の時に、史上最高の1,900ドル超えを演じたときと、なにやら、同じ市場環境にある。
1,700を超えると、逆V字型の展開になる可能性に要注意だ。
ドンと上がって、ドンと下げるパターン。
長期的に地味に買い増している人たちは、特に慌てることはない。
短期的に売買して儲けようとする人は、それなりの覚悟が必要だ。警告しておく。
例えば、一か月の間に1,700→2,000→1,600という展開になっても驚かない。
その間、金の売り戻しは急増しよう。既に貴金属店店頭では、顧客の買いより売りが多い。
長期派で、なおもこの水準で買いたいという人は、10年持つ覚悟が必要だ。
10年後なら2,000ドルなど「安値圏」になっているだろう。
但し、その間の乱高下に心臓が耐えられるか。
10年の間には1,000ドルまで下がる局面だってあるかもしれない。
それが長期積立感覚ならば、購入価格が平準化される。
さて、足元のマーケット環境だが、昨日はクオモNY州知事が「最悪の時期を過ぎた」と宣言。
NY州死者数(遅行指標)は依然700人台と多いが、入院者数(先行指標)が急減傾向になってきた。
更に、米国では今週にも現金給付の準備が整いそうだ。
日本に比べスピード感がある。総じて、欧米では、コロナウイルスの出口の話が増えてきた。
但し、この出口が難しい。いつ、どのような基準で、どこから移動制限を解除するのか。
コロナ第二波の可能性も含め、実に悩ましい問題だ。早すぎれば、ぶり返す。
遅きに過ぎれば、経済が悲鳴を上げ、不況が長引く。
なお、各国が金融財政政策総動員(特にFRB)で金融危機のリスクは減った。
昨日はカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の「経済閉鎖、再開が18か月間繰り返される事態も考えられる」との発言が市場心理を冷やした。
金には上げ加速要因となった。
円相場も107-8円で推移。
107円台になると「円高」とメディアは騒ぐが、この経済の惨状であれば、円90円でも不思議ではない。
その視点に立てば、107円は「円安」だ。
円建て金価格40年ぶり高値の背景には、この「円安」要因がある。
こういう話を取材ですると、「107円は円高じゃないですか」という質問が必ず飛び出す。
出来上がった記事も円高・円安ごちゃまぜで分かりにくい記事になりがちだ。
私は長年慣れているから根気よく時間かけて(コロナで電話取材だけになったが)、基本から説明する。
金のことが一般メディアで話題になることは珍しいので、誤った情報だけは、与えたくないとの強い思いである。
昨日取材記事の一例↓
https://www.sankei.com/economy/news/200413/ecn2004130030-n1.html
こちらは朝日新聞↓
https://www.asahi.com/articles/ASN4F6TW9N4FULFA02F.html