NY金が18日には1,473ドルから1,533ドルのレンジで大荒れとなった。今や国債まで換金売りにさらされている。
振り返れば、リーマンショック直後の換金売りのときは3割近く金価格が暴落。
その後、急騰してその当時初めての1,000ドル大台乗せとなった経緯が思い出される。
それに比べれば、1,700ドルから1,500ドルへの急落幅も「かわいい」ものだと思う。


さて、つい先月には、NY株価が過去最高値を連日更新してダウ3万ドル大台乗せの可能性が語られていた。
それが今や2万ドルの大台割れだ。ドル円が108円の水準で生き残っているのが奇跡と思える。
株価はトランプ大統領就任時の水準にまで戻ってしまった。
しかも、18日には、トランプ大統領のコロナウイルス対策に関する定例記者会見のさなかにNY証券取引所ではサーキットブレーカーがかかった。
これまで株高を政権の評価として自慢してきたので、トランプ氏もパウエルFRB議長など責任転嫁の対象探しにやっきの様相だ。
更に、コロナウイルスという「天災」ゆえ不可抗力宣言(フォース・マジュール)するかのごとき発言も見られる。


いっぽう、民主党のバイデン候補は重要州フロリダで圧勝した。
今後は、サンダース陣営を諦めさせ、挙党一致体制づくりに関心が移る。
スーパーチューズデーを挟み、現職トランプ氏有利と見られていた米国大統領選も一気に混迷の度を深めつつある。
ウォール街も本音はトランプ氏再選によるトランプ相場継続を望んでいた。
しかし、仮にバイデン氏勝利となると、気になるのは「法人減税リセット」の可能性だ。
バイデン氏は法人税21%から28%への増税を唱えている。ちなみにサンダース氏は35%を提示していた。
法人減税はトランプ相場の要だったので、無視できない株価変動要因となろう。


なお、NY州知事は、出社社員を50%以下に抑えることを義務化するなど強硬措置に動いている。
ロンドン市長も、強力な封じ込め対策を今週中に打ち出す予定だ。
それに比し、東京都はオリンピック開催の呪縛で強硬措置に言及することが出来ない。
ラッシュアワーもギュウギュウ詰めは解消されたが、それでも、他の先進国から見れば、考えられない混み具合だ。
今や、対人距離(ソーシャルディスタンス)が世界的流行語になりつつある。
米国経済テレビでも、キャスターやコメンテーターが自宅からスカイプで出演。ゲストは電話出演。
出演者全員がスタジオに集合することはソーシャルディスタンスの観点から回避すべきとの流れになっている。


そもそも日本の検査体制は、明らかに遅れている。
オリンピックが結果的に日本経済の大きなリスクとなる可能性も注視せねばなるまい。