狐につままれた如き感がある。
30日のNY株式市場では、「米国で初のヒトからヒトへ感染事例」が発表された直後はダウ平均が200ドル超急落した。
ところが、WTO非常事態宣言後は、ダウが反騰に転じ、結局124ドル高で引けたのだ。
その理由は「WHOが中国の対応を評価。中国への旅行制限を勧告しなかった」からとされる。
航空会社株は3%前後反騰。カジノ株も2%程度反発した。
安全資産とされる金は売られ、1,585ドルから1,575ドルへ急落した。
それでも依然高値圏を維持しているが。
総じて、NY株式市場では、いずれ終息するとの楽観論が支配して、押し目を拾う動きが目立つ。
短期売買のヘッジファンドでは、WHO非常事態宣言の「噂で売り、ニュースで買い戻す」という常套手段も見られる。
ちなみに引け後発表されたアマゾンの好決算で同株価は時間外で10%程度急騰を演じた。
市場の注目点が徐々に決算にシフトしているとも言えよう。
とはいえ、債券市場では米10年債の利回りが依然1.6%の大台を割り込む1.59%水準で推移している。
3か月もの財務省証券のイールドが1.56%なので長短金利差縮小傾向は変わらない。
WHO非常事態宣言後、米国債はやや売られたものの、依然、債券市場では警戒感が支配的だ。
株式市場は楽観論で育ち、債券市場は悲観論で育つもの。
市場間の温度差が鮮明である。
金市場も悲観論で育つのだが、噂で買ってニュースで売る短期売買が足元の市場を支配している。
なお、NY市場では、総じて、中国発新型肺炎を「対岸の火事」と受けとめ、切迫感・危機感が日本に比し相対的に薄い傾向が見られる。
広い領土のなかで、シカゴで初のヒトからヒトへの感染事例が報じられ、さすがにショックを受けても、全土を揺らすマグニチュードには達していない。
シカゴでイベント自粛などの動きも未だ顕在化していない。
マスク使用も特に勧められていないのは風邪予防マスク着用が異常な光景と映る風土の違いによる。
まずは手洗いを徹底との認識だ。
今後、米国人感染者が増えるような事態になれば、市場の反応も変化しよう。
なお、明日土曜日朝9時からの日経プラス10サタデー(BSテレ東)に生出演で、新型肺炎の経済的影響を語る予定。
連日、市場大荒れで、依然、ガッツリ肉食モードから抜けきらず(笑)