2020年に大統領選挙を控え、米国金融システムに政治的配慮を映す緩みが見られる。
まず、サブプライムといえば、低所得者向け住宅ローン。
これを束ねて買取り証券化してCDOという商品に仕立て上げ、これが全世界にばら撒かれたことからサブプライム危機がおきリーマンショックに至ったわけだ。
そのとき、低所得者向け住宅ローンを買い取る役割を果たしたのが、ファニーメイとフレディマックという連邦住宅抵当貸付会社であった。
このときの反省から、住宅ローンの融資基準、ファニーメイ、フレディマックの買い取り基準が厳格化された。
ところが、ここにきて、その規制を緩める動きが顕在化している。
相対的に所得水準が低い黒人層の票狙いの政治家、住宅ローン取り扱い増による手数料収入を狙う金融機関、そして、「国民に等しくマイホーム実現」を謳う消費者団体の思惑が一致しているのだ。
米国民の住宅保有率は6割台に長期的に留まり増えていない。
そこで具体的には、毎月の住宅ローン返済額が収入に占める割合という融資基準が緩和され、返済不能リスクが高い借り手にもマイホームの夢を叶えるという命題が優先されている。
トランプ政権内での優先順位は低いアジェンダだ。米中、弾劾などに追われ、取り残され「死角」となっている。
その間に、フレディマック、ファニーメイが買い取った住宅ローンは7兆ドルを超えた。超低金利も追い風となり、サブプライム危機前の水準に比し3割超増えている。
2019年には政府系機関が供与した住宅ローン残高が史上最高に達するとの調査結果もある。
毎月の住宅ローン返済額が月収を超えると危機ラインとされるが、ファニーメイが信用保証した住宅ローンのなかで、このレッドラインを超える件数が2016年の14%から2018年には30%に急増している。
それゆえ、パウエルFRB議長も「サブプライム危機再来を懸念する声もあれば、心配には及ばぬとの意見もあるが、真相はその中間にあるであろう」と述べて警鐘を発しているのだ。
そのFRBも本件に関しては監督部門なのだが、他の金融監督部門との調整が折り合わず、規制緩和を結果的に黙認している。
 

次に、米国には地域密着型銀行の支店に対して、低所得者が多い地域の支店でも等しく金融サービスを提供せよとの法律(CRA)がある。
特に、黒人が多い地域では、銀行の融資姿勢も慎重になりがちだ。
しかし、それでは「黒人差別」の誹りを受けかねないので、法律的に指導しているのだ。
ここでも大統領選挙を視野に政治的配慮から、信用度の低い黒人層への融資基準を緩和する動きが出始めている。
 

このようは状況下の2020年、米国経済が更に減速、或いは不況期に入ると、雇用減から債務不履行が急増してサブプライム問題が亡霊のごとく市場に戻ってくる可能性がある。
さすがにリスク管理が厳格化しているのでリーマンショック並みとはならないが、債券市場が揺れる局面は考えられる。
発行体がないので「誰の債務でもない」と言われる金への注目度が更に高まるケースになるかもしれない。
 

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今日の写真は、昨晩の酉の市(二の酉)。

 

酉の市1
酉の市2

 

なんとなく、金キラしていて、ドバイの金スークみたい(笑)
トレーダーには験担ぎが少なくないのだよ。特にポジションがアゲンストのとき。
上がるも下がるも最後は神頼み(笑)理屈で「あり得ない!」と考えても、現実は重く受け止めねばならない。