金市場は、とかく、株をライバル視するが、現実は、株が上がったほうが、金のような新たな投資媒体について考える余裕が出来るものだ。
株が下がると、投資家の心理も委縮する。
それゆえ、金市場の視点でも日本株は上がってくれたほうが良い。
トランプ大統領の訪日風景が欧米メディアでも報道され、日本への注目度が高まるなかで、日本株に関する議論も目立つ。
ウォールストリートジャーナル紙は、日銀のETF買いを詳細に紹介。
日本株のリスク・プレミアムは、6.94%で、米国の5.96%に比し高い。
この傾向は過去6年間、変わっていない、とするニューヨーク大学教授の見解を引用している。
ファーストリテイリング株の20%を日銀が保有することも引き合いに出し、FRBは日本の過ちを回避すべし、と結んでいる。
この記事が話題となり、米国CNBCの人気キャスター、ケリー・エバンス氏は、「日銀がユニクロ株の20%を保有しているって!
FRBがGAPとかメイシーズの株20%保有したらどうなるか、考えられない」と驚きの反応を示していた。「日本の債券市場も機能していない」とも語っている。
トランプ大統領来日が、このような辛口報道を誘発していることを、日本側はただ甘受だけでは済まされない。
日本株の良い点もしっかりアピールすべきだ。
ときあたかも、欧州議会選挙結果が、EU断裂を露わにしている。
日本の相対的政治安定性が鮮明だ。首相3選など、先進国では今や「貴重な絶滅危惧種」とさえ言われるほどだ。
しかも、欧州株は、国際分散運用のなかで、日本株とライバル関係にある。
日本株については、「日本企業の多くが巨額の現金保有のうえに胡坐をかいている」とも頻繁に指摘される。
ここは、日本企業の自社株買い増加トレンドをきっちり知らしめるべきだろう。
筆者も、ニューヨークでヘッジファンドと日本株論議するたびに、日本株についての知見の低さを痛感してきた。
切ないほど、日本のことを知らない。日本株が彼らの「レーダースクリーン上に無い」。
それゆえ、トランプ大統領訪日が日本株のメリットを知らしめる良い機会にもなるのだ。
例え、悪い報道でも、それがキッカケになり、日本株が議論の対象になるだけでも、十分に意味はある。
現実は、話題にさえならないのだから。
ジャパンが話題にあるときは、構造的低インフレの代表格で引用されるときが殆どなのだ。
トランプ大統領が国技館で相撲見物に入場するとき、観客席からブーイングは全く聞かれなかった。
なぜだ?とヘッジファンドの知り合いに聞かれた。これまでの訪問国では「ありえない風景」だと言う。
筆者は、「日本流おもてなし」「国技は神聖なスポーツゆえ、ブーイングなどは礼を失する」との日本人の価値観について説明している。
日本株を「食わず嫌い」の外国人投資家が圧倒的に多いので、この程度のエピソードでも日本についての興味を刺激する機会と感じている。
さて、実は私は朝乃山ファン!
なぜかといえば、行きつけの寿司屋、誠鮨@御茶ノ水に、朝乃山が付き人たちと来るから。
彼は、自腹で後輩たちにふるまっている。
酒は飲まず、ラージペットボトルのウーロン茶をどかっとテーブルに置いて、皆でカブのみだ。
性格が、いい奴だと感じる。
この誠鮨は、私が日経朝刊「交遊抄」に2回目に出たときも、紹介した店だ。