今日は日本株の話。
「ご足労だがNYまでおいでいただけまいか。日本株について詳しく吟味したいので手伝ってほしい」
NYのヘッジファンドの仲間たちから丁寧な「招待状」が舞い込んだ。
筆者が長く在籍したスイス銀行出身者たちのグループである。
過去の事例では、筆者がNYで日本株レクチャーを依頼されると、平均6週間前後のタイムラグで「外国人投資家の日本株買い」が始まっている。そもそも、彼らが日本株に興味なければ、筆者がわざわざ呼ばれることもない。彼らの日本株への本気度が感じられる。日本株買いへのウオーミングアップともいえよう。
そもそも、なぜ筆者に白羽の矢が立つのか。
日本株業界に利害関係がない中立的立場で、しかも、同じ銀行出身の仲間ゆえ本音で語るからだ。日本の大手証券会社が日本株キャラバンで配布した資料を予め送付され、読後の率直な感想を求められる。要は、ウラをとりにきているのだ。
早速、電話で諸々打ち合わせたのだが、最初の印象としては、日本株が消極的選択肢として浮上してきた感じだ。
米国株は最高値更新で高値警戒感が強まり、国際リスク分散として、欧州株と新興国株が候補に挙がる。しかし、欧州経済はブレクジットやドイツ経済懸念で買いにくい。既に保有している欧州株は売り手仕舞いたい、とのコメントが印象的だ。
いっぽう、主要中銀が緩和方向に動くなかでドルが売られ、新興国通貨が反騰して、新興国株が買われた。しかし、唐突なトルコ異変などで、新興国株のリスクが改めて問題視されてきた。
但し、上海株は政策期待で見直されている。
そして日本株が「最後のフロンティア」として残った。
相変わらず「エキゾチック=異国的」とのレッテルを貼られ、日本株に関する知見はお粗末の一言に尽きる。
とはいえ、「日本株の方がマシ」との判断で、少なくとも、中立的な情報を収集したいとの動きは顕在化しているのだ。

日本株が、現在の膠着状態から脱するためには、まず下がって、上昇エネルギーを蓄えることも必要だと思う。例えていえば、走り幅跳びでは、助走から踏切りで瞬間的に体勢を低くしてから、ジャンプせねば、高く長く飛べない。日経平均も2万円割れがあれば、かえって、反騰が期待できると思う。
今のまま、徐々に上がっていっても、踏切が弱く、あまり高くを望めない。
百戦錬磨のヘッジファンドも動物的臭覚で、日経平均急落のタイミングを狙っているのかもしれない。