サウジ記者殺害疑惑が再び、市場を揺らせている。
トランプ大統領は、「ならず者キラーの行動」とサウジ側主張に合わせるかのような姿勢を見せていた。サウジとの関係維持に腐心しているかに見えた。
ところが、昨日、ムニューシン財務長官がサウジでの投資会議欠席との報道が流れ、事態は急展開。株式市場も無視できず、NY株価が急落した。
「砂漠のダボス会議」とも言われる国際会議には、既に民間企業関係者たちが相次いで欠席を表明していた。
そこに、トランプ政権も、ついにサウジアラビアを見切ったか、との憶測が中東情勢混迷の連想で売りを誘発したのだ。
米国とサウジは、共同で包囲網を築き経済制裁を課し、イランと対峙してきた。ここで、ほくそ笑むのはイランであろう。
マクロで中東情勢を見れば、米国の中東関与がますます弱まり、ロシア・中国の影響力が強まるは必至だ。
イラン核合意廃棄により、市場が懸念する最悪のシナリオはサウジアラビア核開発の可能性だ
現状では、サウジアラビアは世界最大の武器輸入国。米国にとっては武器ビジネスの最良顧客だ。そこに、米国がサウジに対し、経済制裁を課すような事態になれば、サウジが自前の核開発に動いても不思議はない。ムハンマド皇太子なら、絵空事とはいえない。
市場の懸念は膨らみ、中東地政学的リスク慣れしているが、今回は珍しく、NY株価が直接的に反応した。
ところが、原油価格も急騰するかと思えば、反応は薄い。
それゆえ、昨日のNY株急落の要因は、中国・欧州にあり、との見方も根強い。
中国当局の制御不能に陥ったかのような上海株安・人民元安。特に、米国財務省の為替報告書で中国が為替操作国に認定されなかったことで、投機筋の人民元売りに拍車がかかっている。
欧州では、イタリア財政問題がEUとイタリア政府の全面対決に発展しかねない状況だ。イタリア国債利回りも更に上昇した。そこに、ドラギECB総裁が、イタリアと名指しことしなかったが、債務不安国の救済について否定的な見解を述べた。
9月FOMC議事録のタカ派的内容の影響も未だ残り、更なる金利上昇に対する懸念も投資家心理を不安定化させている。
複合リスクが共振してマーケットを委縮させる地合いは未だ続きそうだ。
さて、今日の写真は、「えびいも」@京都祇園らく山。鴨も出始めた。徐々に冬の近づきを感じるね。