米利上げ棚上げ説が語られるなかで、円安(ドル高)が111円近傍まで進行した。
FRBは「我慢強く見守る」姿勢で利上げには慎重だが、さすがに年内利上げ無しとまでは、現時点で断定できかねる。「利上げ棚上げ」を意識しすぎたとの反省モードが感じられる。
CMEの利上げ確率も、年内1回利上げが1%台から11%に上昇している。ちなみに利上げ年内ゼロ回の確率は81%だ。一旦は年内利上げ無しを織り込んだものの、まだ2019年も2月。野球でいえば1回表裏終了程度の時点だ。年内、何が起こるか分からない。
通貨投機筋のドル売りポジションも、いったん巻き戻されている。ドルインデックスも95台からジワリ97近くまで上昇中だ。
米10年債利回りも13日には前日2.68%から2.7%へ上がった。
13日発表の1月の米消費者物価指数も、コアで2.2%上昇。とりあえずFRBの目標値2%は達成している。
直近では、FRBパウエル議長、メスター・クリーブランド連銀総裁、ジョージ・カンザスシティー連銀総裁が、相次いで「米国経済良好」のコーラスを講演で謳っている。更に、ボスティック・アトランタ連銀総裁は、経済フォーラムで2019年1回の利上げを予想している。
FRBほど忍耐強くない市場は、高官発言に一喜一憂して、売買ポジションを変える。
なお、13日発表の米経済データで筆者の注目は、労働省労働統計局発表の「実質平均時給」統計だ。雇用統計の平均時給と異なり、物価調整済の実質賃金データである。この1月分が前月の年率1.3%から1.7%に増加した。昨年の1%以下から上げ基調にある。名目ベースでは3.2%になっている。実質平均「週給」データもあり、これは年率1.9%である。
まだ賃金インフレを語るには時期尚早だが、年内利上げ無しを語るのも早計と市場を諭すかのようなデータと見る。
市場も我慢強く見守らねばならない。
ドル高ゆえ、NY金は1307ドル前後まで下がり推移している。