日銀が、遂に、マイナス金利解除を決めた。
これは「利上げ」であるが、緩和は維持する。
すなわち、日本国債の買い入れは続け、金利が上がりすぎないようにする。
それゆえ、普通なら、利上げで円高となるところ、緩和は維持するということで、異例の利上げでも円安となった。


更に、日経平均が急落したときに、日銀が株ETFを購入して、買い支えるという救済手段も止めることになった。
この政策変更の時期が早まったのは、春闘で大幅賃上げが相次ぎ、物価上昇以上の実質賃上げが実現する見込みが立ったから。
もう株式市場も独り歩きしろ、というメッセージが込められている。


というわけで、長くデフレ漬け状態にあった日本経済にも、かすかながら、希望の灯が見えてきた。
とはいえ、まだ楽観的になれる状態とは言い難いというのが、一般の国民の生活感覚であろう。
ヘッジとしての金の役割は未だ必要とされよう。
金は、持っていて、役立たないのが、実は最も望ましいのだが、なかなか、そういうユートピアが実現するのは難しいものだ。
資産運用の観点では、日銀のETF購入で、日経平均株価は4,000円ほど、かさ上げされている。日経平均株価が39,000円なら、実力は35,000円程度ということだ。


今回の一連の流れを見て、NYの友人たちは、いかにも日本らしいという。
まず、国が新NISAという制度を導入して、国民が横並びで一斉に「投資」に走る。
次に、政府の要請で日本企業が、これまた横並びで一斉に賃上げに走る。
「皆で渡れば怖くない」という心理が日本らしいというのだ。
万が一、失敗すれば、皆一緒に桜と散るわけだ。


こう書いているうちに、ドル円相場は150円を再び突破した。
日経平均は4万円を再び超えた。


そして、日本時間明朝、祝日だが、米国FOMCが終わり、パウエル記者会見が開催される。
更に、3か月に一度発表されるFRB経済見通しのなかの、いわゆるドットチャートに注目。
FOMC参加者たちの24年の利下げ回数及び利下げ開始時期の予測の分布図である。
前回は年3回で3~4月くらいが中心値であったが、その後、米国経済過熱の可能性を示唆する経済指標が相次ぎ、今回は、利下げ2回で、6月以降という見方が主流になりつつある。
「利下げは急がず」。
これは、NY金にとって逆風となるはずだが、謎の金高は続きそうだ。