中国人はなぜ金が好きなのか。
写真を使って説明してみよう。
まず、60億元紙幣。

 

60億元紙幣

この写真は、長くブログを読んできた読者には見覚えあると思う。
筆者が中国大手銀行貴金属部のアドバイザーをしていた頃、行内の展示コーナーで見つけた。
中国にはハイパーインフレの歴史がある。
この60億元紙幣は1949年発行。
国内内戦激化にともない戦費も膨れ上がり、紙幣を乱発した結果起きた。
下の丸窓には、一握りの米が入っており、この紙幣の購買力を示す。
このような歴史的体験を経てきているので、国民の間には根強い人民元不信感が未だに残る。
この60億元紙幣の裏には紀元前4世紀に使われていたという金貨があった。
なにせ、中国国内で写真撮影はヤバイことなので、撮れなかったが、紙幣より金貨という感覚が民族的なDNAとして残っているのだと感じた。
そもそも「中国黄金文化」について説明するコーナーが銀行支店内に掲示されているケースも中国ならでは。
 

中国黄金文化」について説明するコーナー

今は、中国政府が新たな貴金属口座の設定を制限・禁止しているが、民族のDNAは代えられない。
そもそも、この大手銀行のルーツは上海の両替商だった。
蝋人形館に、その当時の銀行支店が再現されている。
Gold and silver money exchangeという看板が分かりやすい。

 

Gold and silver money exchange

上海でのセミナー風景の写真もアーカイブに残っていた。
超満員でむせかえるような雰囲気。
「金でもうけるぞ~!」みたいな、個人投資家のアニマルスピリッツが充満。

 

上海でのセミナー風景

質疑応答となると、半分以上の参加者が手を挙げ、私を指名してくれと叫ぶ。
ほんの数人が、遠慮がちに恐る恐る手を挙げる日本のセミナー風景との対比が鮮明だ。
金価格が急騰すると、日本人は、注意深く様子見となりがちだが、中国のセミナー参加者は、ここまで上がったのだからもっと上がる、と考える人が多い。
これも民族の違いであろう。


投資については、中国人と米国人が同じような特性を示す。対極に日本人がいる。
最近は中国人の若者の間でもゴールドの小間物が人気だ。
北京に出稼ぎにきている若い男性が、国の父へ仕送りするのに、金の指輪を選んでいたことが印象に残る。
中国の宝飾店には「男性向け金宝飾品コーナー」があり、オッサンたちが群がっている。
金の指輪が欲しいーーというフェロモンを強烈に発していた。
日本では考えられない光景に接して、中国金需要の奥の深さを体感したものだ。