マーケット目線では今回のG20に関する関心のほぼ100%は29日土曜昼に開催される米中トップ会談に集約されると言っても過言ではない。
従って、その結果を受けた7月1日月曜朝の日本市場での株式・為替の初期反応を世界の市場が展開となる。
しかも、米中トップ会談の結果は、休戦協定か物別れか、二者択一で市場は測りかねているので、どちらに転んでも、ボラティリティが大きくなることは必至の情勢である。
NY金は1,450ドルもあれば、1,400ドル割れもありうる。
日経平均が2万2千円もあれば2万円攻防もありうる。
円相場は110円もあれば105円もありうる。


総じて、事前予測としては、休戦協定で継続協議となるシナリオが有力視される。
中国側が、ファーウェイ社への禁輸措置と対中追加関税の撤回を会議再開の条件として提示しているとの情報も流れたが定かではない。
但し、ハイテク覇権争いは両者との絶対譲れない線であり、しかも、通商問題と安全保障問題を一体化して議論が進む情勢ゆえ、今回の会議で全面合意はほぼあり得ない。
とはいえ、国内向けのジェスチャーとして、ひたすら強硬な態度を貫くだけの展開も両者は避けねばならない。
関税引き上げによる自国内経済ダメージが国民の許容レベルを超えてきているからだ。
そこで、技術の強制移転と知的財産権保護などの「構造改革」面で、着地点を模索する協議が継続されるシナリオが現実味を帯びる。
中国製造2025に関する助成金は、中国経済戦略の根幹ゆえ、中国側の譲歩は考えられない。
市場は、とにかく決裂が回避され、両者がひきつった笑顔でも握手する写真が大阪発で世界に流れれば、当面安堵相場となろう。

とはいえ、米中貿易協議が長期化すれば、次の通商関連の標的は日本と欧州となる。
梅雨の晴れ間はあっても、その後の豪雨か長雨には要注意だ。
テールリスクとしては、両者厳しい表情で会議場をあとにするというシナリオもトランプ大統領ゆえ、無いとはいえない。
ベトナムでの米朝トップ会談でトランプ大統領が席を蹴ったという事例は、中国側にとってもショッキングな出来事であった。
米国側では、既に合意済みと理解していた条項を文書で確認したところ、中国側が突然白紙化した事例の記憶も鮮明に残る。
万が一、後味悪い結末になるようであれば、週明けの日本株安・円高進行はかなり厳しくなろう。
NY市場でも、米中トップ会談前に、ポジションを整理して、万が一に備える態勢が目立つ。
来週は、雇用統計そしてFOMCを視野に、G20大阪後の新たな市場環境で7月相場に突入である。


さて、これからG20厳戒体制の大阪へ移動。
明日、テレビG20特集番組に生出演。
果たして、会場近くのホテルまでたどり着けるのか(笑)


そして、今日の写真は虎屋@ミッドタウン六本木の季節の生菓子。
「御階の本」(道明寺製)。
御階とは御所の階(きざはし)のことで、菊と同様に天皇を象徴する桐を意匠化した生菓子。


 

虎屋 季節の生菓子