東京五輪中止なら日本株買い、外国人投資家の読み
「東京がウイルス・エマージェンシー(緊急事態)を強化。五輪開催反対論強まる」
「日本の医師たちが五輪中止を要求」
米国経済テレビは、テロップでこのように日本のウイルス感染拡大を報道している。
早速、ニューヨーク市場のヘッジファンドや年金運用関係者たちからは、「東京五輪開催強行か、中止か」との質問が飛んできた。
緊急事態を英訳すればエマージェンシーとなるが、これは「戒厳令」を想起させる強い表現だ。
日本型「自粛要請」とはかなり異なるニュアンスである。
日本側の五輪選手への検査・行動制限などを説明したが、欧米の価値基準では「緩すぎる」。
「誓約書に署名しても、六本木に繰り出す輩は出てくる」などのコメントが聞かれた。
基本的に性悪説に基づくので、日本型性善説との温度差が鮮明だ。
ズームで詳細に議論したが、年金など長期マネー派は、五輪が中止され国内感染拡大が抑制され、周回遅れながらワクチン接種が進むことを、日本株購入の条件とする。
その場合、バリュエーションで見ても、既にワクチン接種を織り込んだ米国株より割安で魅力的と映る。
いっぽう、五輪が強行開催のシナリオならば、感染拡大リスクによる日本経済マイナス成長長期化リスクが生じるので、日本株の優先順位は後回しとなる。
なお、ヘッジファンドなど短期マネーも、五輪中止なら日本株買い。
五輪開催なら日本株売りの姿勢である。
但し、短期売買なので、五輪を挟み、日本株のボラティリティは高くなるが、基本的にはゼロサムゲームである。
なお、日銀がETF購入を減らしつつあることは、「日本株正常化」として特に長期保有派からは評価されている。
対して、短期投機筋は、日銀依存症が顕著な日本株市場のボラティリティが高まる要因として興味を示している。
これまでは、日銀介入により日経平均が例えば4,000円ほどは、かさ上げされているとの認識が見られた。
それゆえ、日本株の日銀離れ傾向が強まれば、ヘッジファンドによる先物思惑売買は増えそうだ。
金関連の話題は、依然、インフレ。
今のインフレ傾向が一時的か否か市場の見解は割れ、短期的に金価格を2,000ドルに押し上げるほどのインパクトには欠ける。
長期構造的ディスインフレ傾向はそう簡単に変わる話ではない。
年後半に、このインフレの話は、より切迫感をもち、金市場を押し上げることになろう。
さて、ワクチン接種予約。自分でやってみて、制度の難しさも分ってきた。
例えば、2回接種だが、1回目の接種予約を取る時点で、2回目の予約も同時に入れるシステムの区もある。
しかし、予定枠が分刻みで埋まってゆくので、1回目後、2回目までの間隔が6週間も空いてしまうケースもある。
それだけ空くと、ワクチン効果は95%から75%に減少する。
対して、1回目接種終えた時点で、2回目の予約を取らせる区もある。
いずれにせよ、ネットに不慣れな人には、かなり難しい作業となろう。
接種状況は、地方部より都市部での遅れが目立つ。
地方の友人たちは、もう接種済だが、都市部の連中は、予約がこれから、という状況だ。
個人的には、世界的に例がないほど全国至る所に病院・診療所がある国ゆえ、かかりつけ医での接種が有効だと感じている。