ジャクソンホール、日銀の「体験談」にも注目
今年のジャクソンホール中央銀行フォーラムは異例のバーチャル形式で行われるが、もうひとつ異例なことは「日銀」が注目されていることだ。
コロナ禍が今後、再び悪化した場合に、中央銀行には有力な政策手段が残っていない。そこで、「クリエイティブ=創造的」とされる非伝統的政策手段が議論されてきた。具体的には、イールド・カーブ・コントロール、オーバーシュート・コミットメント(2%を超えるインフレ率の容認)、そしてマイナス金利などだ。いずれも日銀が先駆的に導入しているので、その「体験談」を聞きたい、との声が顕在化してきているのだ。
「日銀に倣え」とばかりに追随するのか、結果が厳しく評価され「日本化は回避する」となるのか。
中銀依存症のマーケットは、日銀に倣い、FRBが何らかの追加緩和を示唆することを期待する。
いっぽう、民間エコノミストの間では非伝統的経済政策の成果に関する評価は辛口が目立つ。ジャパニフィケーション(日本化)という新語が定着。日本経済には「デフレから脱却できない国の代表格」とのレッテルが貼られている。
このような状況で、ジャクソンホールを控え、今週は、米国10年債利回りが0.6%台から0.7%台の狭いレンジで推移している。
市場の本音はパウエルFRB議長講演で、追加緩和論議が聞きたい。しかし、非伝統的金融政策は、どれも「小粒」で、語れば語るほど、金融政策の限界を浮き彫りにする結果になりがちである。そこで失望感が醸成されると、ドル金利が急反騰するリスクを孕む。外為市場ではドル高に転じるキッカケとなりうる。仮に1%に接近するようなことあらば、市場はかなり動揺するであろう。要経過観察だ。
なお、国際金価格(スポット)は1903ドルまで下げてから1955ドルまで戻して、1940ドル台で推移。所謂ベアー・マーケット・ラリー。下げる過程の反発局面。仮に1900ドル割れたって歴史的高値圏に変わりはない。