金現物小売価格、7001円に
今日の日本の金市場の話題は、店頭小売販売価格(消費税込み)がグラム7000円の大台を突破したことです。もちろん、円建て金価格の史上最高値更新。但し、税込みで、消費税は段階的に上がってきているので、その分は割り引いて考えるべきでしょう。金ETF価格の算定とも異なります。
今日は、朝から、筆者のもとには、感謝メールが続々届いています。
2014年頃からセミナーでは「東京オリンピック開催の2020年には国内金価格7000円台」と語っていたので、「半信半疑(笑)」でその頃に金を買った人たちが喜んでいるのです。但し、その当時の筆者の予測は、ドル建て金価格が1700ドル、円相場が120円という内容だったので、「まぁまぁ結果OK」というところでしょうか。円相場が想定より円高に振れていますね。しかし、筆者は相変わらず筋金入りの「円安論者」なので、円相場は「長期的には」いずれ120円台に「回帰」してゆくと見ています。これもセミナーで披露してきたことですが、私の財産の半分はドル建て資産。少子高齢化で移民も拒む国の通貨「円」の購買力は徐々に弱まる、との見立てです。今や、日本の公的年金(GPIF)も運用資産の半分近くは外貨建てですからね。「私はドルなんて持ってないし関係ない」という人でも、実は大切な年金が既に円離れしているのです。他人事ではありません。
金も海外市場でドル建てで売買されるので、外貨建て資産の範疇に入ります。
なお、国内金価格がここにきて急騰している最大の要因は、為替(ドル円)が106-109円の狭いレンジで膠着していることです。以前なら、NY市場でドル建て金価格が上がっても、円高で相殺され、円建て金価格は動かず、という展開が繰り返されました。しかし、今や、ドル建て国際金価格の上げ下げが、殆ど、そのまま、円建て金価格に反映されるようになっています。ドル円相場の膠着状態は当分続くでしょう。米ドルも円も「安全通貨」として市場では認識されており、その「安全度」も拮抗しているからです。NY市場で「安全通貨」といえば、まず米ドル。対して、日本市場で「安全通貨」といえば、まず円。当面は、いい勝負なので、円高・円安どちらにも大きく振れにくい状況なのです。今回のコロナ禍にしても、これだけの「有事」が勃発すれば、以前の常識では96円程度の円高になっても不思議はなかったはずです。ところが現実には106円台。それで「円高」だと騒いでいます。そして109円になれば「円安」とされます。まぁ、私の感覚でも、120円台で「円安」、106円台は「円高」と認識していますけどね。
なお、今日は長期的見地から金7000円台を語りましたが、プロにとって最も難しいのは、短期予測。来週、来月、金価格は上がるか下がるか。これは分かりません。そもそも、トランプが明日明後日何を語るか予見できる人など、世界中に誰もいませんよ。トランプ自身が何を言うか分かっていないのですから(笑)これも、セミナーではよく引き合いに出す事例なのですが、筆者がスイス銀行ゴールド・プラチナ・トレーダー時代に、3000回は相場を張りましたが、星取表は1600勝1400敗程度。ひと場所8勝7敗で勝ち越せば御の字の世界でした。その勝ち越しを10年以上続けることが、最も難しいのです。
実は、あのジム・ロジャーズも同じことを言っています。「短期予測?私はそれが大の苦手。外してばかりいる。そういう話は、銀行か証券会社のアナリストにでも聞いてくれ」と開き直っていますよ。メディアから聞かれても、彼は絶対に短期予測は語りませんね。
元祖ヘッジファンドと言われる彼ですが、実は、筋金入りの長期投資論者なのです。