昨日書いたファーウエイCFO逮捕の事件が、あれから日経平均500円超下げる展開となりファーウエイショックとなった。

なにせファーウエイ社は中国最大級の企業で、年間に市場で買われるスマホの数は5億を超す。米国の(そして同盟国の)懸念は、これが中国のスパイ活動はサイバー攻撃に利用される可能性があること。ファーウエイ社CEOは元人民解放軍出身なのだ。そして、今回、逮捕されたCFOCEOの娘。一人民解放軍兵士の家庭に生まれ、父親の会社に出入りするようになり、今や実質NO2の座まで登りつめ、次期CEO候補だ。例えれば、中国政府がアップル創業者の娘を逮捕したようなもの。衝撃は大きい。

 

日本ではソフトバンク回線不通の事故が大きく報道されたが、欧米は、ファーウエイショックで世界同時株安の報道が圧倒的。

アジア・欧州市場軒並み株急落。そしてNY株式市場は午前中下げ幅を700ドル超まで急拡大したが、午後になり一転下げ幅縮小モードに転換。終わってみれば一桁違う前日比78ドル安で引けた。

NY金もNY時間に入り動意づき1235ドルから1244ドルまで急騰。その後、反落したが、最近のレンジでは高値圏で推移した。これだけ市場に不安感が嵩じると、やはり金は買われる。

では、昨晩のNY市場乱高下では何がおこったのか。

午前中はファーウエイショック、OPEC減産合意難航、逆イールドを嫌気してアルゴ取引中心に株の売り注文が連鎖的に殺到した。しかし、株価の異常な下落が、FRB利上げ観測後退を予測させる結果になった。OPEC減産合意難航、原油安懸念も、物価を引き下げ利上げを遅らせる要因と化した。

いっぽう、カプラン・ダラス連銀総裁が米国CNBCに生出演。来年前半の米国経済の景色は今年と異なる、と警鐘を鳴らし「ゲームでカードを開いても、動かず我慢強く待つべき時もある」と語った。更にボスティック・アトランタ連銀総裁が、「中立金利は、叫べば届く距離にある」と発言。パウエル総裁の「中立金利近し」発言に合わせたかの如き表現ゆえ、市場内ではFOMC参加者たちの利上げ慎重論「合唱コーラス」のような効果があった。同時進行的に、ウオールストリートジャーナル紙が、パウエルFRB議長の「金融政策とは暗闇の部屋を手探りで歩く如し」との講演発言を引用。フォワード・ガイダンスにより市場に利上げ方針を明示するのではなく、「成り行きを見守るwait and see」の姿勢と報道した。これまでの3か月に一度利上げという決まったペースではなく、データ次第であくまで臨機応変に対処する。来年の利上げペースは白紙状態なのだ。市場内には、今月12月利上げも、一か月送らせて来年1月に延期説さえ流れる。これまではFOMC後の記者会見を行う3月、6月、9月、12月に利上げが決定され、記者団との一問一答で丁寧に説明された。しかるに、来年からは、1月、5月、7月、11月のFOMC後にも記者会見が行われる。ゆえに、全てのFOMCが「ライブ」で、「無風」の金融政策決定会合は無いのだ。

かくして、最重要経済データである本日発表の米国雇用統計への注目度がいつになく増している。

金利を生まない金にとっては、利上げ回数が減ることは、上げ材料だ。

 

なお、市場内部要因として、連日の極めて荒い値動きにより、株式・債券・商品市場の流動性が著しく減少していることが懸念されている。高速度アルゴリズム取引が一説には取引量の8割を占めるとも言われるほどの状況だ。そこで、市場が異常な乱高下に陥ると、トレーダーたちが、スイッチをOFFにしてしまう。売値買値を提示するマーケットメーカーが減り、価格変動が増幅する、という負の連鎖である。市場価格に連動することが売り物のETFも、激しい値動きに追いつけず、原資産価格からの乖離現象が目立つ。

FOMC後の記者会見が増えたことで、来年の乱高下の回数が増えるは必至だ。

 

こんなときでも私の食い意地は萎えず。おなじみ京都祇園「らく山」で供される冬の海老芋が育ってきた。これだけ大きく、大将の熱の通し方が抜群だと、食感がムースみたい。たまらんわ()

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