FRBの経済見通しは楽観的に過ぎるのではないか、との議論が台頭してきた。

パウエルFRB議長が、世界的な景気後退が市場では意識され始めているこの時期に、粛々と利上げを進める姿勢を明らかにしてきたからだ。

この週末も、新たな懸念材料が噴出した。

まず、APECが米中非難合戦のなか事実上の決裂に終わった。

ブエノスアイレスG20の場で予定されている米中トップ会談に市場は緊張緩和の期待を寄せてきただけに、失望感が強まる。ただでさえNY市場は、米中高官発言に一喜一憂して、乱高下を繰り返す地合いが続いている。

更に、サウジ記者殺害事件をムハンムド皇太子が「命令」とCIAが結論、との報道も、衝撃を与えた。サウジマネーが「ダーティー・マネー」(汚れたマネー)とされるリスクがある。サウジが出資するテスラ、ウーバー、エヌビディア、ツイッターなどの企業や、ブラックストーン、そしてソフトバンクのファンドなどが踏み絵を踏まされる可能性を市場は注視する。

ブレクジットも今後7日間が最後の正念場とされる。

 

このような市場環境では、利上げは「一回休み」が適当との議論が浮上している。今年12月か来年3月のどちらかは利上げを回避すべき、との見解だ。

先週金曜日のNY市場では、クラリダ新FRB副議長が、初のテレビ生出演で、多面的に語ったが、市場は特に利上げに慎重な発言を材料視した。

外為市場では、円相場が113円前半から112円後半へ円高ドル安に振れるキッカケとなっている。

「FRBは世離れしている。私のほうが民間CEOたちから、景気懸念の発言を色々聞いている。」と人気投資家ジム・クレーマー氏が不満をぶつけたことも市場の懸念を代弁している発言と受けとめられた。

イエレン前FRB議長の時代には「FRBには逆らうな」と言われたが、パウエル時代に入ってからは「FRBを疑え」との言い回しが目立ち始めている。

NY金は、ドル安に反応して、1220ドル台まで反騰。(グラフkitco参照)

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前にも書いたが、万が一12月利上げが見送りになると、市場には完全に織り込まれていることが、ちゃぶ台返しでひっくりかえることになるので、ドル急落、金急騰になる。以前書いた時点では「万が一」だったのが、今は「万が百」くらいには上がったかな()それでも一万分の百程度の確率。よほどの米中悪化とか、サウジ米国決裂とか、極端なシナリオだ。

 

ところで、ライザップの株が暴落。一時は1400円台まで上がっていたのが、今や200円台。要はM&Aで広げ過ぎたということなのだが、それにしても、極端な株価変動。こういう事例を見ると、株価は底割れするけど、実体の価値がある金価格は底割れしないということを改めて痛感するね。

米国ではフェイスブック株価が下げまらない。大統領選ロシア介入疑惑にFBが利用され、それに対しての対策が後手後手に回り、今や、あのサンドバーグ女史(COO)の責任問題にまで発展している。彼女は働く女性の象徴的存在で、本もベストセラーになった。フェイスブックは私は元々やっていないので、強い感想はない。友達申請した、されたとか、面倒くさい()SNSは一方的情報発信用のツイッター@jefftoshimaと、ひたすら仕事用のLINEだけ。