注目の6月FOMCは想定通り、これまでの利上げ効果を点検するために、利下げは見送り。
しかし、そのあとに、ビッグサプライズ。
FOMC参加者は、7月以降、12月まであと4回のFOMCで2回の利上げを見込んでいることが判明したのだ。
7月再利上げは、ある程度、想定されていたが、2回というのは、まったく市場の想定外であった。
パウエル議長は、まだ、インフレ抑制が道半ばと見ているようだ。
あと2回は利上げを続けないと、しつこいインフレがぶり返すリスクがある。
とはいえ、ただでさえ、昨年から僅か1年間でゼロ金利から5%の水準にまで史上最速利上げを強行してきたので、これ以上、利上げを重ねれば、まず、引き締めが強すぎて、景気が悪化するは必至。


更に、米国の地銀が大量に保有している米国債の価値も、政策金利が今より0.5%も上昇すれば、ますます減価して、含み損をかかえた銀行が破綻するリスクが高まる。
それゆえ、市場は、追加0.5%利上げは、間違っていると断定した。
市場の視点では、12月政策金利水準が今より0.5%高い5.50%~5.75%のレンジになる確率は、わずか6%!
これほど、市場がFRBの見解を疑い反旗を翻すことも珍しい。
仮に、本当に、あと2回利上げすれば、金利を生まない金の国際価格は1,800ドル程度まで急落するであろう。
しかし、マーケットは、せいぜい7月FOMCであと1回利上げする程度と読んでいるので、いよいよ利上げも最終局面。
野球に例えれば、8回裏程度、ということで、利上げが天敵の金価格は、重しが取れたように上昇したのだ。(KITCO24時間金価格グラフの緑線)。

 

kitco

ちなみに、利上げ2回なら、外為市場で、日米金利差拡大を理由に円安が145円程度まで進行しても不思議はない。
しかし、外為市場もFRB見解を信じないので、140~141円程度の円安に留まっている。
本日は、日銀金融政策決定会合があったが、想定どおり、超金融緩和継続が決まった。
日米金利差は開いたままだ。
円安トレンドも変わらない。
したがって、円建て金価格には為替面で上昇圧力がかかりやすい。
今後も注目点は、FRB高官発言。
これについては、別稿↓(中級者向け)を参照されたい。

年内米2回利上げ確率は6%、市場はFRBに公然と反旗


市場がFRBの金利政策に対して反論を強めている。
まず、FOMC後のパウエル議長記者会見直後に、「債券王」といわれるガンドラック氏が、米経済専門テレビに生出演して「FRBはもはや利上げできない」と断言した。
インフレは順調に下落基調にあり、これ以上利上げすれば、景気後退や金融危機を誘発しかねないとの懸念が背景にある。
更に、ゴールドマンサックスなどの米大手金融機関が相次いで、年内あと4回のFOMCで利上げは1回だけ、との予測を発表した。
FED WATCHでも、年末12月の政策金利が5.50%~5.75%(利上げ2回に相当)となる確率は6%に過ぎない。
FRBの公的予測に対して、マーケットが間髪入れず、これほど「不同意」の姿勢を明示することは極めて珍しい。
FRBに対する信頼感も低下して「FRBを信じるな」がNY市場内で合言葉になるほどだ。
市場が不安定になれば、パウエル議長が、ハト派的発言で下値を支えてくれる期待が生まれ、「パウエル・プット」と言われ、合言葉も「FRBには逆らうな」であった時期との対比が鮮明だ。
FOMC内部でも意見が割れているだけに、今後、マーケットはFRB高官発言に反応して動く局面が増えそうだ。
利上げに積極的なタカ派としては、ブラード・セントルイス地区連銀総裁、メスター・クリーブランド地区連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス地区連銀総裁、バーキン・リッチモンド地区連銀総裁、ローガン・ダラス地区連銀総裁、ウオラーFRB理事、ボウマンFRB理事らの名前が市場では取り沙汰される。
対して、ハト派陣営には、ジェファーソン副議長、ハーカー・フィラデルフィア地区連銀総裁、グールズビー・シカゴ地区連銀総裁、コリンズ・ボストン地区連銀総裁らの名前が並ぶ。
ウィリアムズ・ニューヨーク地区連銀総裁、デイリー・サンフランシスコ地区連銀総裁、クックFRB理事、バーFRB副議長(金融規制担当)は中庸派とされる。
更に、6月FOMC議事録も常になく注目度が高い。
なお、日銀は、黒田総裁時代には「永遠のハト」とNY市場内では言われていた。
本日、大規模緩和を維持した植田日銀がハトから変身するのはいつか。
これも、NY市場の関心事である。


それから、テレビ朝日のグッド!モーニングで、一般視聴者向けに分かりやすく日本株について説明の写真。

 

テレビ朝日のグッド!モーニング1
テレビ朝日のグッド!モーニング2

そして、今日の話題は、NYの最新トレンド。
午後5時に夕食を食べること。これ、在宅勤務に慣れたライフスタイルゆえの珍現象。
夜は自宅で家族と楽しく過ごす。
外食は、コロナ前に比し、頻度が減っている。
一時はリベンジ消費で、レストランに殺到したが、一巡すると、「まぁ、今夜は家で食べるか」というムードが強まる傾向。
ニューヨーカーも以前より地味になってきた感。