トランプ大統領は、原油高を嫌い、最近の原油急落に「謝辞」を送った。

とはいえ、原油価格が下げ過ぎても困る立場にある。

テキサス、サウスダコタのシェール生産州では、失業が発生するリスクがある。2020年の大統領選では大事な票田となるだけに、看過できまい。

更に、ハイイールド債の半分近くはエネルギー関連への投資とされる。原油急落が信用破綻を誘発しかねない。トランプ氏自ら「株価が政権の経済政策の通信簿」と語ってきたので、株安要因の芽は摘み取らねばなるまい。

 

このような状況で、ブエノスアイレスG20には、プーチン大統領とムハンマド皇太子も出席の予定だ。それぞれ日量生産1100万バレル前後で原油生産世界最大国の座を争う3各国が揃うことになる。

そこで、この3か国で、なんらかの生産調整が議論される可能性が浮上してきた。

 

市場では、原油生産大国対ヘッジファンドのせめぎあいが注目されよう。

OPECをはじめ生産者側の内部対立が激化すれば、漁夫の利を得るのはヘッジファンドなどの投機筋だ。

今回の短期間での原油急落局面で、原油先物空売りに走ったヘッジファンドは高収益を上げた。ヘッジファンドの原油売りポジションも膨張している。

具体例として「マーチャント・コモディティー・ファンド」が10月には原油先物売りで16.1%(通年も15%)のリターンを得たとの報道が市場を駆け巡る。株価大変動で苦戦中のヘッジファンドにとっては「干天の慈雨」であろう。

 

今や、原油取引市場では、自己勘定で売買する専任ディーラーが激減している。そもそもは、ドッドフランク(金融改革法)により大手投資銀行の原油部門が投機的とされ縮小・閉鎖の事例が相次いだ。その結果、市場の流動性が激減。原油市場のボラティリティーは異常に高まり、自己勘定売買のディーラーが次々と退出した。代わりに市場の主役となったのがAIを駆使するヘッジファンドだ。

NYMEXのフロアーで人間による値決めが行われる時代は終わった。電子取引のプラットフォームでAIが発する売買注文が飛び交い、モニター画面の数字だけが乱高下する。今や、原油取引市場に人影が見られない。外野席でコメンテーターが後講釈を語る程度だ。

 

このコンピューターによる売買攻勢に対抗できるのが、サウジ米国ロシアの連合軍であろう。原油価格の長期トレンドを決するのは、やはり需給のファンダメンタルズ。それも、世界最大級生産国が協調せねば、投機の波に翻弄されるだけだ。

NY金は1210ドル台へじり安。

引き続きドル高。というよりブレグジットやイタリア不安抱えるユーロ安でドル高。

 

今日の写真は、バニラ・シャーベットなんだけど、これが、濃いバニラ味でね。甘さよりバニラ独特の風味が優る。食後に爽快感。そして、虎屋の本当のリンゴみたいな生菓子。

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