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豊島逸夫による金市場の解説

2018年01月12日
18年相場読む勘所

以下は昨年末に日経ヴェリタスへの寄稿の採録です。

 

ビットコイン・フィーバーに去勢されたかの如き地合いで2017年市場はエンディングを迎える。トランプ大統領から「大型減税」というクリスマス・プレゼントを派手な祝賀式典つきで受け取ってみれば、市場内に残るのは「あっけなさ」に似た虚脱感である。

とはいえ、クリスマスが明ければ「気持ちは新年入り」。

マーケットにも打診的な動き、予告編的な兆しが出始める。

日本株の視点で気になる兆候は、米ファンド筋との会話の中で「ポートフォリオの国際化」がしきりに語られることだ。

米国人投資家の運用配分は基本的に「USセントリック=米国中心」だ。

しかし、さすがに2018年に、前年同様、史上最高値更新の日々再来を期待するほど楽観的にはなれぬ。

 

そこで目が欧州、途上国、そしてジャパンにも向くわけだ。

日本は北朝鮮の隣国だが、債権国で安定政権の安定感は魅力だ。

さっそく1月にはセルサイドではない独立系ということで筆者にNYに呼び出しがかかった。Toshima & Associatesとしてブルームバーグの情報提供社にもなっているのだが、11月から連日の閲覧数が前年比で3倍に急増している。

閲覧者の国籍は米国が多い。

経験則としてこれは海外勢が日本株関連情報を漁っている証左だ。

 

いっぽう、マクロの視点では、積極財政と金融引き締めのポリシーミックスのもと、企業減税をこれだけ吹かせて、パウエル氏率いる新装FRBが、ハト派的スタンスを維持したらどうなるか。

しかも、トランプ政権は規制緩和の件数を誇らしげに挙げるほどマーケット・リスクには寛容だ。

市場内にはマクロ・プルーデンシャル=金融安定性に関する疑義がくすぶる。

そのような市場環境の中で、米10年債利回りが久しぶりに「2.5%の壁」にまで上昇中だ。

これは冒頭に述べた「来年の予告編」なのか。

大型減税・インフラ投資で、ゴルディロックス(適温経済)より、お湯の温度が高まれば、冷却水投入の回数も年3回から4回に増えるかもしれない。

利上げ確率を見れば、2018年3月利上げ56%、3月に続き6月も利上げとなると33%、更に9月に3回目利上げのケースは17%、そして12月に4回目利上げに至っては8%に留まる。

3月利上げ確率が90%にまで高まれば、その過程で円相場が115円を超える円安も視野に入る。更に6月利上げ確率がやはり90%まで熟せば118円、9月利上げで120円程度というところか。

 

最近はドル相場の金利への感応度が低くなっている。

インフレ率低迷に加え、新たな市場のミステリーとされるが、長期的に見れば、やはりマネーの流れを決めるのは金利だろう。

ワイルドカードは、通貨投機筋の荒っぽい洗礼を受けていないパウエルFRBが初お目見えを無難にこなすか。

特に資産圧縮プログラムに関して、前任者イエレン氏が決めたペースを変えるようなことがあれば、バーナンキショック再来リスクが無視できない。

トランプ氏が新FRB理事に送り込んだ「論客」グッドフレンド氏は、経済が過熱すれば、資産圧縮ペース加速を積極的に支持する論調なのだ。

米財政政策が一区切りついたところで、2018年相場を見る勘所は米金融政策に戻ることになろう。

 

以上。

 

なお、本日の日経朝刊マーケット面に2018年金価格展望についての私の見解が載っています。

 

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