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豊島逸夫による金市場の解説

2017年12月06日
商品市場にチャイナ・ショック

銅価格が昨晩の欧米市場で4%以上急落した。この2年間で最大級の下げ幅だ。キッカケは取引所在庫の予想外の積み上がり。その背景には中国需要減退予測がある。

金価格も急落。北朝鮮緊迫、ロシアゲート再燃などで一時は1300ドルの大台を窺う動きもあったが、1260ドル台にまで下がった。中国では、春節が年間で最大の需要期なので、年末から宝飾品製造向け金地金の仕入れが活発化するのだが、今年は消費者の動きが読めないと上海の宝飾業者は不安げだ。

銅・金ダブル安に連れて、亜鉛・ニッケル・銀・プラチナ・パラジウムのメタル価格も下落している。

銅も金も中国が最大の需要国。特に、銅は産業分野から消費分野まで需要構成が多岐に亘るので、その価格は中国経済の体温計ともいえる。

市場が神経質になるのは、やはり習近平指導部が打ち出してきた金融構造改革が顕在化しているからだ。既に金融機関への締め付けを強化して、消費者ローンへの規制強化などに動いている。一連の不動産投機規制も、消費者心理を冷やす。

更に、金融引き締めは銅在庫コスト増を招く。

最近の上海株式市場異変により企業マインドも一段と慎重になっている。既に民間企業部門は中国累積債務問題でも最大規模の債務をかかえる。それだけに金融締め付けはボディーブローの如く重く効く。

マクロ的には、退任が近い中国人民銀行周小川総裁が、10月19日「ミンスキーモーメント」という表現を引用して中国債務問題に警告を発したことがビジネス界では未だに尾を引いている。筆者は中国の銀行アドバイザリーを務めたときの元同僚たちから、同発言についての意見をしきりに聞かれる。ちなみに、債務の悪循環により信用市場がクラッシュして経済が縮小することで、ミンスキーは経済学者の名前だ。

この発言は、債券市場にも心理的影響を与え、中国10年債利回りが4%近くに高止まりしている要因の一つにもなっている。

本日の上海株指数は心理的節目の3300の大台を割り込んでいる

かくして、株式・債券・商品市場でチャイナリスクがジワリ顕在化しつつある。

2018年、経済成長と構造改革の綱渡りを強いられる中国経済のリスクを先取りするごときマーケットの動きとも言えよう。

なお、昨晩の下げの要因として、いよいよ来週FOMCで利上げ決定、米税制改革進展によるドル高も重要だ。

 上海セミナー風景.jpg

筆者が講演した上海でのセミナー風景。会場内は初心者投資家たちの熱気が充満していた。

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