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豊島逸夫による金市場の解説

2017年09月11日
有事の金急落、 ドル安時代到来か、ドル売りクライマックスか

北朝鮮建国記念日に再度の核実験無く、国連制裁決議を待たずして、市場は有事の円買いの売り戻しに動いている。有事の金も急落中だ。一時1,360ドル台まで急騰したが、今朝は1,330ドル台まで下がっている。

下がったところで投機筋の再度買い意欲も強いが、トレンドを読むうえで大事なのは「有事相場」ではなく「ドル安」相場の行方だ。

中期的なドル売り意欲は依然根強い。最大の理由は、ドル長期金利低下だ。米10年債利回りは2%の大台を割り込む寸前まで低下してきた。その背景には、依然伸び悩むインフレ率、盛り上がらないインフレ期待がある。12月利上げ見込みも後退している。

このディスインフレ(物価上昇伸び悩み)現象については、様々な説があり、依然明確な結論は出ていない。

NY連銀ダドリー総裁は、最新の講演で「当惑」という表現を使いつつ、一時的というより構造的変化の可能性を示唆している。具体的理由として、1)消費者がネットで店頭価格差を迅速に把握できること、2)リアル店舗からネット通販へのシフト、3)その結果として、消費者のブランド・ロイヤルティーや売り手の価格支配力に変化が生じていること、などを挙げている。

それでも同氏は、経済成長率がトレンドを上回り、インフレ率を押し上げるので、金融緩和解除を段階的に進めることが妥当と判断している。但し、この最新講演では、12月利上げに直接言及しなかった。

更に、如何にも唐突なフィッシャーFRB副議長の早期辞任、イエレン氏後継最有力候補コーン国家経済会議委員長のトランプ氏との人種差別発言を巡る確執も、FRBが徐々にトランプ色に染まってゆく可能性を暗示しているかのようだ。そのトランプ氏は、自らを「低金利人間」と言って憚らない。

その「低金利好き」大統領が、金融規制の緩和に動いていることが、イエレン氏との溝を決定的にしている。リーマンショックを教訓とする金融改革法(ドッド・フランク法)のもとで、金融機関への規制を進めてきたイエレン・フィッシャー・ペアにとっては、受け入れがたい動きであろう。いっぽう、トランプ嫌いが多いウオール街でも、この金融規制緩和は歓迎されている。トレーディング部門縮小・廃止に追い込まれ、多くのトレーダーが解雇された経緯があるからだ。

とはいえ、金融正常化の遅れと金融機関規制緩和が、早晩バブルを招くとの議論も根強い。資産価格、特にNY株が直近で頭打ち気味とはいえ、依然、高値圏に留まっている。特に、2017年年初からの値動きを見るに、結果的には、株も債券も同時に買われていることが不気味だ。一般的に株式市場は経済先行き楽観論で育ち、債券市場は悲観論で育つもの。それがNY株も米国債も同時に「バブル」懸念が語られるほど買い進まれるということは、どちらかが間違っているわけだ。株式市場が間違っていれば株価の本格的調整となり、債券市場が誤っていれば、ドル金利急騰となる。

外為市場では、ドル短期金利の政策的引き上げが遅れ、ドル長期金利はインフレ期待低迷。更に米国債への「質への逃避買い」で下落傾向が見込まれることで、金利差によるドル売りが加速してきた。

但し、ドル安も一定の臨界点に達すると、ドル不安に変化する。一転してドルへの信認が問われる状況になる可能性を秘めるのだ。トランプ大統領が、ドル安政策に傾きつつ、金融規制を緩和することで、「長期的にはドル高が望ましい」との建前も揺らぎかねない。ドルへの信認が薄れれば、外国人投資家の米国債購入意欲も薄れる。そもそも、米国債の買い手としてFRBが後退するなかで、中国と日本の米国債保有が相対的にその存在感を増している。

それゆえ、市場の中期的な注目点は、そのドル安の臨界点が、ドル円でいくらなのか、ということだ。105円なのか、或いは100円なのか。はたまた、「今」なのか。金利差に基づくドル売り・円買いが、悪い円売りに転換する水準を模索しているのだ。

先週金曜日に円高が107円台に突入したが、その後、NY市場では一時108円台を回復するなど乱高下を繰り返し、今朝の東京市場でも、108円台攻防の様相だ。このような短期的に荒い動きは、テクニカルに相場の転換点に見られる特徴でもある。ドル売りクライマックスの前兆のように見える。

有事の円買いは一時的としても、金利差に基づくドル売り、その結果としての円高相場も正念場を迎えているようだ。

 

そして、今日の写真は、マガーリ@洗足池で、オマール。熱の入れ方が相変わらず抜群だね。シェフのセンスが光る。

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