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豊島逸夫による金市場の解説

2017年05月18日
米大統領弾劾も視野、市場激動

市場がロシアゲートに本気で反応し始めた。

主流の見方は、これで市場が期待する大型減税案に関する議会審議が遅れるとの懸念だ。

いっぽうで、トランプ政権の危機として、弾劾の可能性もまともに議論されるようになった

ペンス副大統領が大統領になった場合に株は買いか売りか、について意見が飛び交う光景さえ見られる。

これまで「まさか、あり得ない」とされていたシナリオがテールリスクとして意識され始めたのだ。

 

 

昨日、本欄「相次ぐロシア疑惑、トランプ氏退陣説まで浮上」に書いた「高齢の富豪大統領が嫌気して自ら職を去る」シナリオもヘッジファンドの間では語られている。

民間のブックメーカー(賭け屋)predictit では、2018年末までにトランプ大統領が職に留まる可能性が60%程度まで下がってきた。

いっぽう、一時8割を超えた6月利上げ確率も7割前後まで下がっている。

とはいっても、依然利上げ決行の見方は根強い。

マーケットでは、6月利上げを見込んでドルを買い、米国債を売った投機筋が、慎重になり、ポジションを手じまっている。

そして、安全資産とされる米国債、円、金が買われている。

米10年債利回りは2.22%台にまで急落。イールドカーブ(利回り曲線)がフラット気味になっている。

金市場は有事相場から利上げ相場に移行して下げ始めていたが、再び政治リスクに起因する新規買いが増えてきた。1,260ドルまで2%近い急騰だ。

いっぽう、円相場は一気に110円台に突入。

6月利上げを織り込んでドル高円安に振れていたが、急速に巻き戻されている。

株式市場は、冴えない米国マクロ経済指標を背景に、売り優勢の展開だ。

 

 

今後の展開だが、コミ―前FBI長官が習慣として書き残していたとされるトランプ大統領との会話記録メモの提出が注目点だ。

更に、共和党内でも、ポール・ライアン氏など主流派から不協和音が聞こえてくる。

今後の発言が市場に影響を与える可能性がある。

そして、ロシアゲート疑惑を受け、FRB高官が6月利上げに関してコメントすれば、市場は反応しやすい地合いだ。

外為市場では利上げによるドル高圧力と、ロシア疑惑による円買い圧力が拮抗している。

瞬間的に109円台突入は考えられるが、ヘッジファンドが、これ以上、一方的に円買いポジションを積み上げるほどの動きは未だ見られない。

予見が難しい政治相場ゆえ、とりあえず模様眺めに徹する市場参加者が圧倒的に多いようだ。

米国債も金も、基本的には買いだが、利上げの可能性がブレーキをかける面も無視できない。

 

 

総じて、弾劾の現実味が増すと、金は更に買われることになろう。

ただ、弾劾法案可決には上院の2/3の賛成が必要なので、100議席のなかで52議席の共和党にとって、ハードルは高い。

そもそも、共和党内での弾劾に対する抵抗感も勿論強い

トランプ支持層も、かえって団結を強めると思われる。

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