HOME > 豊島逸夫による金市場の解説 > 2013年 > 長期金価格トレンドについて

豊島逸夫による金市場の解説

2013年09月24日
長期金価格トレンドについて

金価格上昇トレンドは第一ラウンドから第二ラウンドへの踊り場にさしかかっている。

第一ラウンドは1999年の250ドル(国内は一時1000円割れ)から2011年の史上最高値1900ドル突破まで12年続いた上昇期。

第二ラウンドは2014-15年から始まる。

今は、その間の、「調整期」というわけだ。

理由を説明しよう。

まず、第一ラウンドの金価格急騰要因は、なんといっても国際基軸通貨ドルの凋落=ドル安(円高)トレンド。

その背景には、リーマンショックという未曽有の経済危機があった。

そこで、ドルの代替通貨として、相対的に安全と見なされる無国籍通貨「金」が買われた。

しかし、リーマンショック、更に欧州債務危機も最悪期は脱した。

経済危機という有事に対応するために取られた米国の未曽有の「量的緩和政策」による、巨額のドルばら撒きも、そろそろ幕引きの時期が近くなった。

しかし、日本は、黒田日銀が、まさに米国流の量的緩和政策を始めたばかりだ。

超緩和政策の出口を模索する米国。

入口に立つ日本。そうなると、外為市場ではドル高(円安)の時代に転換する。

ドルの代替通貨としての金の出番も少なくなる。

このマーケットの潮目の変化を嗅ぎ取ったヘッジファンドなど投機筋が、大量の売り攻勢を仕掛け、今年前半、金価格は一時1200ドルを割る暴落を演じたのだ。

筆者は、今年の5月と9月の2回にわたり、ニューヨーク金取引所を訪問したが、いずれも、先物で金が売りまくられていた時期であった。

この先物市場での売り手は、現物の金地金を保有していないのに金を売る、いわゆる「空売り」の連中である。

だから、先物で売った金を、定められた期限までには、買い戻さなければならない。

筆者が目撃したのは、顧客には「金はもっと下がる」と説明しつつ、自らは、既に売った先物の金を、いつ買い戻そうかと、買いのタイミングを虎視眈々と狙うヘッジファンドの姿であった。

だから、「ニューヨークで売りが増加、金の輝きは薄れた」などとメディアが囃すときには、冷静に見るべきである。

なお、ニューヨーク先物金価格が急落すると、猛然と現物の買いを入れるのが、中国やインドの新興国だ。時あたかも、これら新興国の経済には赤信号がともっている。

これまでは米国のばら撒いたドルが新興国経済にも流れ込み、快調に高度経済成長を続けてきたが、今年に入り、米国の量的緩和政策終焉が意識され始めると、新興国経済成長が減速し、一斉に米国へのマネー里帰り(逆流)現象が起こったのだ。

しかし、その間も、中国・インドの現物金需要は衰えるどころか、過去最高水準を記録していた。

最新の金需給データによると2012年7月から2013年6月までの1年間の年間金需要は、インドが1048.5トン、中国が946トンと、年間金生産量(2012年)2847トンの69%を買い占めているのだ。

(ワールド・ゴールド・カウンシル統計による)。

ここに、金価格上昇トレンド第二ラウンドの予告編を見る。

そのシナリオはこうだ。

2013-4年にかけて、米国経済はドルじゃぶじゃぶ作戦を終了させる。

いわゆる「緩和マネー」が金市場から流出して、国際金価格は踊り場に入る。

しかし、米国経済のリーマンショックという有事対応として実施された異例の超量的緩和が「出口」に向かうということは、とりもなおさず、ドルの供給という「点滴」を外せるまで、経済の健康が回復するという担当医(バーナンキFRB議長)の所見でもある。

となれば、中国やインドの経済も連動して回復してゆくことは必至だ。

金現物需要も更に増加することも必至であろう。

新興国が年間金生産量の8割以上を買い占めてしまうような状況が考えられる。

これこそが、金上昇第二ラウンド。

第一ラウンドは、欧米経済危機によって誘発されたが、第二ラウンドは中国・インドが推進役になる。

そこで、もうひとつ重要なこと。

それは、金の年間生産量がほぼ頭打ちということである。

この10年間で金価格は500%以上に急騰したが、年間金生産量は僅か10%しか増えていない。

南アでは、地下3000メートルを採掘しないと、もはや金鉱脈には当たらない。

埋蔵量の多くは海底なので、金価格が1万ドルになっても、鉱山会社としては採算ラインに乗らない。

液体の原油と違って噴出してくれないからだ。

従って、第二ラウンドは、それほど増えない供給量に対して、新興国が経済成長とともに、年間生産される金の殆どを買うことで、需給バランスが恒常的に逼迫するという状況のなかで示現するのだ。

足りないモノに買いが集中すれば、10年後の金価格は3000ドル、10000円になっても全く不思議はない。

えーー!と驚く読者も多いが、有望株の銘柄で、10年で倍、などという話はかなりコンサバな見方であろう。

しかも、株価は「底抜け」するが、金価格は「底抜け」しない。

金生産コストが価格レンジの下限になる。

その生産コストは1211ドル(トムソン・ロイターGFMS調べ)。

このコストを割り込めば、金鉱山は減産・閉山を余儀なくされ、リサイクルも減り、供給は減少し、一方、新興国の安値買いが殺到する。

その予告編を今年前半、金価格が1200ドルを割り込んだときに見せつけられた。

過去最大級の現物買い注文が集中した結果、新興国市場では深刻な「現物不足」が生じ、現地の金価格には記録的なプレミアムがついたのだ。

2013-4年の期間では、欧米ヘッジファンドの投機的売りで金価格が再び急落する場面も頻発すると思う。

そこが長期的買いのタイミング。

但し、短期的価格変動は、我々プロでも読み切れない。

かくいう筆者でもしょっちゅう外している。

しかし、10年後の金価格は自信を持って答えることが出来る。

中国・インドの現物買いは長期保有が原則で「買いっぱなし」ゆえ、投機による短期的乱高下を繰り返しつつ、コツコツと金価格水準は切り上がってゆくからだ。

  • ●本サイト(http://kikinzoku.tr.mufg.jp)は、「純金上場信託(現物国内保管型)」 (愛称:「金の果実」) ・「純プラチナ上場信託(現物国内保管型)」 (愛称:「プラチナの果実」)・ 「純銀上場信託(現物国内保管型)」 (愛称:「銀の果実」) ・「純パラジウム上場信託(現物国内保管型)」 (愛称:「パラジウムの果実」) (以下、4商品を総称して「『金の果実』シリーズ」または総称して「純金/純プラチナ/純銀/純パラジウム上場信託」または「本商品」または「貴金属上場信託」といいます。なお本サイト内においては、個別商品について「純金/純プラチナ/純銀/純パラジウム上場信託」「純金上場信託」「純プラチナ上場信託」「純銀上場信託」「純パラジウム上場信託」「Japan Physical Gold ETF」 「Japan Physical Platinum ETF」 「Japan Physical Silver ETF」「Japan Physical Palladium ETF」 と称する場合があります)に関する情報の提供を目的としており、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
  • ●「純金上場信託」「純プラチナ上場信託」「純銀上場信託」「純パラジウム上場信託」はそれぞれ別の地金(金・プラチナ・銀・パラジウム)を裏打ちとした個別の商品です。
  • ●本サイトにおける「日本初」とは、日本の金融商品取引所に上場されている商品のうち、日本に貴金属現物が保管されかつ貴金属現物に転換(交換)可能な商品として初めてであることを言います(2014年4月1日現在。三菱UFJ信託銀行調べ)。
  • ●本サイトは、特定の金融商品等の取得・勧誘を目的とするものではありません。
  • ●本サイト掲載の数値・グラフ等は過去の実績・状況であり、将来の市場環境・運用成果等を示唆・保証するものではありません。また、税金・手数料等を考慮しておりませんので、最終的な投資成果を示すものではありません。
  • ●本サイトの内容は作成基準時点のものであり、その以後予告無く変更または廃止される場合があります。また、この資料に掲載されている情報の作成には万全を期していますが、当該情報の完全性を保証するものではありません。
  • ●当社は、本サイトに含まれる情報およびそれを利用したことにより発生するいかなる費用または損害等の一切について責任を負いません。
  • ●本サイトの一切の権利は当社に属しており、目的を問わず、無断複製・転載を禁じます。

【ご注意下さい】

  • ①当社店頭窓口では本商品のお取り扱いはしておりません。本商品は東京証券取引所に上場されている商品であり、当社(店頭窓口およびインターネットバンキング等いずれも)では「申込・売買・現物への転換(交換)」等一切お取扱できません。本商品に係るお取引をご希望の方は、最寄の取扱第一種金融商品取引業者(証券会社)にお申込み下さい。
    なお、貴金属現物への転換(交換)は、小口転換取扱証券会社のみのお取扱となりますのでご注意下さい。
  • ②小口転換取扱証券会社以外の証券会社で本商品を保有されている方で、現物への転換(交換)を希望される方は、小口転換取扱証券会社への口座移管が必要となります。
  • ③貴金属現物から本受益証券への転換(交換)はできません。
  • ④転換(交換)には一定の口数が必要となります。また、銀・パラジウムは大口転換(交換)のみとなります。
  • ⑤転換(交換)には手数料が必要となります。詳しくは、「転換(交換)について」をご参照下さい。

【その他ご留意事項】

  • ●本商品は、預金等や保険契約とは異なり、元本の保証はありません。
  • ●本商品の運用により信託財産に生じた損益は、全て投資家の皆様に帰属します。
  • ●本商品は「預金保険制度」の対象ではありません。
  • ●金融商品取引業者以外の金融機関は、投資者保護基金の対象ではありません。
  • ●本商品は、販売会社がお申込みの取扱を行います。
  • ●本商品の売買を行われるに際しては、予め、お取引先の金融商品取引業者等により交付される契約締結前交付書面等を十分にお読み頂き、商品の性質・取引の仕組み、リスクの存在、手数料、信託報酬等の費用等を十分にご理解いただいた上で、ご自身でご判断下さい。
  • ●本商品は書面による契約の解除(クーリング・オフ)の適用はありません。
  • ●本商品は投資信託ではありません。

【手数料およびリスクについて】

  • ●本サイトに掲載の商品毎に所定の手数料・信託報酬等の費用をご負担いただきます。
  • ●本商品は値動きのある地金等を信託財産としているので、一口あたりの純資産額(取引所開示)は変動します。したがって、投資家の皆様の投資元金が保証されているものではなく、一口あたりの純資産額(取引所開示)下落により損失を被り、投資元金を割り込む事があります。
  • 手数料およびリスクの詳細につきましては必ず目論見書・有価証券届出書(純金上場信託/純プラチナ上場信託/純銀上場信託/純パラジウム上場信託)をご覧下さい。

商号等 : 三菱UFJ信託銀行株式会社 登録金融機関 関東財務局長(登金)第33号
加入している協会の名称 : 日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会


JDR(日本型預託証券)
金ETFの魅力を語る。「金の果実」を保有するメリットは?